光樹

枯れ果てた世界に
立ち尽くす大木
闇夜に包まれる場所に
光と呼べる輝きは無い

枯木にも何の魅力も無く
誇りも価値も感じられない
全てが空虚なままで
時だけが流れて行く

ある時暗闇の中に
大量の滴が降り注ぐ
一面に広がる水の世界だが
黒に染まる世界では何にもならない

だが其処に生命が生まれた
淡い緑色の輝きを持つ蛍が
一つ一つまた一つと
そして蛍の輝きは世界を満たした

枯木の大木に集いては
蛍は輝きを重ね合い
何にも負けぬ美しさを
世界に魅せる

枯木に輝く蛍達は輝く葉の様に
水面には輝く緑の光が映る
静けさに満ちてはいるけれど
もう寂しさは何処にも無い

だって闇夜に染まった無の世界は
此処には存在しないのだから


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