日捲りカレンダー

何の変化の無い無感動な一日の始まり
カレンダーの一番上を引き裂き
ゴミ箱に投げ捨てる
そして今日へと紡がれた時に流される

業務的にこなして行く日々
望ましい感動が起こるならば
荒れ果てた心にも
癒しの水に潤されると言うのに現実は悲惨

一日が始まる度にカレンダーを捲る
その日課が永久に続く限り
自身のこの退屈な日常すらも
永久に続いて行くと言う錯覚を覚える

暦が替わり季節が巡ろうとも
行う事は同じ繰り返すだけの機械みたいなもの
変化があるとするならば
季節ごとに零される愚痴くらい

とある日僕はカレンダーを睨み付け
全てを引き裂き炎の中に投げ込んだ
機械的な日々からの決別
自身の覚悟を決める小さな抵抗

それから僕の日常に変化を生み出して行く
帰り道を変えたり行き付けの店を変えたり
細やかであろうとも変化を見付ける為に
自分にとって足りない何かを手に入れる為に

街中で見掛けた小さな花屋の店で
笑顔で水を撒く女性
その笑顔を見付ける事が出来た事そのものが
何にも変え難い一つの幸福

温かな気持ちを胸に抱き締め
零れ落ちた涙は
幸福の実感による歓喜か
それとも過去との決別を果たした達成感か

だがそれよりも大切なのは
その涙を見付けた女性が居た事なのかも知れない


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