彩り屋さん

彼女は彩り屋
普段は街や
道行く人描く
絵描きさん

だけれど彼女の絵は
周りの人からは認めて貰えません
何故なら彼女は風景を描いても
まったく別の絵になってしまうから

それでも彼女は落ち込む事も無く
笑顔のまま絵を描き続けます
だって彼女にとって描いた絵は
理想の街や人々の姿なのですから

そんな絵を見た一人の男は
彼女に絵を描いてくれと頼みました
まったく別の絵を描く彼女に
自分の絵を頼んだのです

それは男は失恋したばかりだからでした
自分のこの暗い気持ちを
どう描くのかと
彼女に嫌がらせと絵を頼んだのです

それでも彼女は絵を描きます
何故なら彼女は知っているのです
この街の全てを人々の姿を
目の前に居る男の事も

彼女の描いた絵はやはり
目の前の男を描いただけではありませんでした
それでも男は涙を流しました
絵の感動と自分の行為の浅はかさを悔いながら

笑顔の女性と寄り添う男に
男が初めて送った花の畑に包まれて
指輪を渡す姿を描かれていました
そう彼女の描く絵は理想の未来

彼女は彩り屋
街を人々の未来を理想に彩り
夢を一つの現実に変える絵描きさん
今日もまた誰かの未来を街の未来を

理想に彩るのです


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