願いの断片

私には永遠と呼べる程の広さの世界
孤独に生きるには寂しく
届かない声は
叶わない願いを思わせて
見上げる空の広さも一人の私を
より絶望の淵へと貶める

空から降り注ぐ小さな白い雪だけが
涙を流せない私の代わりに
泣いてくれる様で
冷たきその粒に私の携える温もりで
雪の知らぬ温かさを与え
一時の幸せを教えてみる

世界全てに私と言う存在を
知ってもらう事は叶わない
果ての見えない景色は
遠過ぎる場所に住む人々の幸福を
思い描いては羨望で見詰める

吹き抜ける風は体温を奪うけれど
私の生の証明を教えるようで
満たされない心に
一欠けら注ぎ込む
ぶつかる雪すらも同じ様に

手に舞い降りた雪を握り締めて
遠き世界に呼びかける言の葉を
小さな空からの贈り物に
溢れ出す想いと共に
雪の欠片に込める

雪の溶けた水滴が大地を流れ
誰かの許へと届くならば
孤独に生きる私が
誰かの人生の一つの断片となれる
そう信じて握った温もりを

願いと共に
一欠けら世界に落とす


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