白の世界

空から降り注ぐ白い欠片
世界を白銀の中に隠して行く
誰かが残した足跡も
再び積もる欠片に隠される

聞こえる音は何も無いけれど
聞こえると言うならば静寂か
人々の喧騒から切り離された
無音の静けさに全てを塗り替える

屋根を覆う塊が静かに崩れ落ちては
沈黙の中に響き渡る
枯れ木に輝く白も
何にも負けない輝きを放つ

嫌悪される季節であろうとも
存在する魅力は
感じられる風情は
決して劣る事は無い

空から舞い降りる欠片が
零された涙ならば
その冷たさは
空の心かも知れない

でも最後には温もりを知って
儚く消えていくのだから
この白に染まる季節を
今だけは慈しみ見守ろう

白い欠片集い塊
白銀に隠され眠りましょう
刹那を噛み締めながら
未来を描きながら

白の涙が
融けて行くまで


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