空蝉

其処に居たはずの誰かの背中
追いかけた時にはもう居ない
空虚に取り残された僕には
何処にも居場所が無くて
独り叫ぶ声に重ねられる声は無い

何を追い掛けたいのか
何を掴み取りたいのか
そんな問答も頭を掛けるが
結局答えは出ない
いや出すのを自分自身で拒んでる

本当は理解している
僕に道を示した恩師
記憶の中のあの人の面影
形なき幻を追っている事は
優しさに触れたい事は知っている

だけど頷けないのです
幻であろうとも触れられると信じて
面影を思えば優しさを感じられると頑なに
きっと世界の何処かには居るのでしょう
僕を受け入れてくれる人が

でも見付けられない今は
追い掛け続けているしかない
この世界の何処にも居ない
貴女の幻を
僕の中にある思い出を

貴女が消えた事を
未だ認められないのです


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