「ん…………」 微睡から目が覚める。 「んっ……とあれ?」 まだ瞼が重いが強引に開け、周りを窺う。 「あれ?……」 仰向けで寝てたのか空には満天の星空が広がり、月が煌々と輝いている。 「………………あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」 女の子らしくない大声を出したと思う。今まで作ってきたキャラが崩れるとも思う。でもそんなこと気にはしていられない。 「やばいやばいやばい。さすがに二日連続はやばい!! ほら二人とも起きて起きてもう夜になっちゃってるわよ!」 いまだお腹と膝を枕に寝ているランとロロを叩き起す。 「ん〜どうしたのフェルちゃんそんなに騒いだりしちゃって〜」 「……フェル後五分……」 「ランそんなのんびり構えてる場合じゃない! ロロもそんなベタなこと言ってないで起きなさい!!」 体を揺すったり、頬を軽く叩いて目を覚まさせるとロロの魔法の明かりを頼りにして街に全力で戻る。 遅れがちになるランを私とロロが引っ張って走る。 幸いにもまだ門は開いており、守衛さん達が声をかけてくる。 「ほら〜急げ〜そろそろ門を閉めるぞ〜」 「待ってくださ〜い!」 ラストスパートとばかりに私は足の回転速度を上げる。半ば二人を引きずる形で門を通った後、ぜえぜえと全員で息を整いていた。 「閉門〜〜〜!!!」 さきほど通ってきた門が閉められる。本当にぎりぎりだった。 「お前たち遊びに夢中になるのはいいが、もうちょっと早く帰るようにしろよ」 「ははは……すいません……」 色々弁明したいこともあるが、ここは素直に謝っておくことにした。 「二人ともそろそろ大丈夫?」 「……ロロは大丈夫」 「もうちょっと……待って……」 ロロは中々体力もあるみたいだ。さすがここまで旅をしてきただけはある。 それから数分。ようやくランの呼吸も整った。ランはもう少し鍛えたほうがいいかもしれないな。 「じゃあランを送って行きましょう」 「そういえば魔法の練習の続きはいつやるの?」 「……ロロはいつでもいいけど?」 「う〜ん明日は私がちょっと用事があるからパスしてもいいかしら?」 「それっていつもの内緒の用事?」 「そう。だからごめん。またお土産持って行くから」 「……内緒の用事って?」 ロロが質問するとランが私から少し距離を取って小声でロロに説明する。 「時々、フェルちゃん一人でどこかに出かけてるみたいなの。ロロちゃん知らない?」 「……ううん。ロロも知らない」 聞こえてないと思ってるだろうがバッチリ聞こえてます。まぁここは聞こえてない振りをするのがお姉さんとしての態度かな。 「じゃあ明日、フェルちゃんの後を付いていこう」 「……わかった。じゃあ明日ね」 「オーケー」 ふむふむ。明日私を尾行するとはなんとも愚かなことを考える二人かな。まだ二人に修行のことを教えるつもりはないし、撒くことに決定ね。 ランを送り、懸念していたお咎めはなかった。まだ幸いにも昨日よりは早い時間だったからだ。ロロと一緒に我が家に戻り、夕飯を頂くと昼寝をしていたにも関わらず速攻眠りに落ちた。
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